老後の2000万に怯える余裕すらない

すでに一週間前に大波乱をよんだ、金融庁による「老後に2000万必要発言」

 

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散々ニュースやあらゆるメディアで取り上げられているので、ここでは詳細を省くが、見出しだけでもめまいを起こす。

でも単純に考えたら、老後もらえる(であろう)年金の金額と支出を計算するとつじつまがあってしまうのは事実だ。

だが実際に老後にいくら必要かを算出して、必要な額の蓄えをしている人は多くはないと思う。

だから実際に数字を叩きつけられて気を失いかける。絶望する。今からそんな大金貯蓄できるわけねーだろと憤る。

 

そこで金融庁が出した提案が「投資信託」だ。

いやまあ、金融庁ですし?すこしでも銀行や証券会社に有利になるような働きをする必要があるのもわかる。わかるけど。

 

投資信託って、アバウトすぎない?

 

現に私も投資信託ってものがどんなものか、漠然としかわかっていない。

つい先日、仕事でよくお世話になっている銀行で「二ヶ月でいいので」と頼み込まれ、そこの銀行のマスコットグッズ欲しさに契約して、初めて投資信託がどういうものなのかをぼんやりと知った。

要は、毎月5000円なりを預け、選んだ会社に投資し運用してもらうとかなんかそんなかんじ。たぶん。うまくいけば配当金がもらえて預けたお金が増える。

まあその辺はググった方が早いと思うんで、私のあほが露呈するような説明はやめとく。

 

そんな投資信託もよくわかっていない私がなぜこの問題に着目したかというと、

老後まで2000万円貯められない国民はおしまいでーす。

と暗に言われているような気がしてならなかったからだ。

 

ものすごく乱暴で歪曲した捉え方だとは思うけど、ぶっちゃけそういうことでしょ?

2000万円必要だよ、蓄えられないなら投資信託にでも手を出してみてね、じゃ!

って、いきなり国民を奈落の底に突き落としておいて、投資信託なんて博打みたいな案だけを置いてったように感じた。

 

え・・・。

老後の2000万どころか、うち、貯蓄すらないんですけど。むしろマイナスなんですけど。そういう社会的弱者さんチームはどうしたらいいんでしょうか・・・。

え?しらね?投資信託でもして老後に備えておいてね?

あ、そうですか・・・。

 

上でも書いたけど、単純計算すれば老後に2000万必要だってことはわかるんですよ。

けどね、

そこまで見据えられるほど、現状は豊かじゃねぇんだわ!

 

こちとら、今日明日の生活でいっぱいいっぱいなんですわ。

今日明日と言わずとも、そんなちょっと考えれば算出できるような金額に目を向けられないほどほとんどの国民は、現状、もしくは10年後くらいまでを見据えるだけで精一杯だっつうの。

 

だからあの金融庁の発言で愕然としてしまうわけよ。

そこまえで考えてなかった。いや、考える余裕がない現状で、投資信託?投資する金の余裕があるのなら、2000万円貯金できるのでは?

そもそも投資信託をしたところで、必ず元本を上回るとは限らないでしょ。なにその投げやりな提案。

現実を知る意味ではその発言は正しいかもしれない。いや、正しいというか事実だしな。

でもあまりにも残酷な「切り捨て」としか思えなかった。

 

あー、これ、2000万貯蓄できるか投資信託で増やせるかできる人間と、そうでない人間を分別してるんだろうなーって。

これから貧富の差はどんどん広がっていくと思う。この日本ですら。もうマリアナ海溝かってくらい差が生まれると思う。

そうか、私たち社会的弱者はやはり国から切り捨てられる運命なのか。

今日明日をなんとか生き延びたとしても、10年後20年後先の未来に私は存在できないかもしれないのかと。

そんな時代に生まれてしまったんだ。

国が、金を稼ぐことができない人間を切り捨てる時代に。

動物的観点からしたら、それは弱い者は淘汰されるという自然の摂理でもあるだろう。

だが人間には人権があった。だから弱者でも受け皿があったかのように思えていた。福祉や行政の恩恵にあやかることができるものだと思っていた。

だがやはり現実は違ったのだ。

弱い者は淘汰される、当たり前の生物界におけるシステムに、人権なんてものは無関係だった。

 

あの発言から一週間、いろいろとモヤモヤしていたのは、国からも切り捨てられた存在。葉真中顕著「絶叫」から引用するならば、私は「棄民」だ。

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棄てられているのだ。国に。

国の保護も得られない。

ほんとうに極端な言い方になっているのは承知だが、どうしてもそうとしか思えないのだ。

国は、優秀な人間しか、必要としていないのだと。