鬱と酷暑と低気圧と

私は気圧の影響を受けるタイプのようで、昨日、一昨日と台風が迫ってきたおかげで頭痛、めまい、意識障害などとひどかった。ひどかったが、ひどい状態にも慣れるもんなんだなと、仕事中に意識が飛んで、SFのように時間がトリップしたと気づいた時に感じた。
おそらく相当やばい状態なんだろうが、辛い、しんどいと思う感覚がマヒしていた。
でもどうせ低気圧だろうがなんだろうが、私には気圧は変えられないし、仕事のシフトも変えられない。つまりはいつも通りに仕事するしかないのだ。
気圧の変化で不調をきたす人は少なくはない。その全員が、症状の程度はあれ低気圧だからと休んだら社会が成りゆかない。
もし私が低気圧で体調が悪く、休みたいと会社に申し出たら、他の気圧に体調を左右される人だって「じゃあ私も」となるだろう。
もしくは「私も低気圧でつらいのに私さんだけ休みやがって」と影で恨みを買うに違いない。

気圧の変化を知らせてくれるアプリがある。
一時期インストールしていたが、気圧が低下するので要注意!と示されたところでどうすることもできない。何をどう気をつければいいのだ。
なるべく休んでとか、ストレスを溜めないようにだとか…。それが叶うのなら、自分の生活をセーブできる環境下に身を置いているのなら、私はそもそも鬱になんてなっていないだろう。
そのアプリを否定しているわけではない。あれを活用している人も多いだろう。
ただ私には、注意喚起を促されても対応できる術を持っていない。自己管理能力のない人間には、無用の長物なのだ。
「今日は低気圧でしんどいから家事をセーブしよ」なんてしようものなら、シンクには洗い物がたまり、洗濯物は床に散乱する。
翌日、普段の倍の労力をかけてそれらを処理するはめになる。
果たしてこれは効率的なのか。
たしかに元気な時にまとめてやる、というのは効率的かもしれない。
しかし、例えば体力ゲージが100でMAXだとしよう。翌日100ゲージで倍の労力を使用する。普段、仕事と家事で使用する労力が50だとしたら、倍の労力を使うと一気に体力ゲージがゼロになるのではないか。
そしてまたふりだしに戻るというやつ。
どうしろっつうんだ。みんなどうやり過ごしているのか。

低気圧だけではない。
連日の猛暑はもう関東以南だけの問題ではなくなった。
北海道でも30度を超える日が続く昨今だ。
暑さに体力を奪われ、近所では熱中症かどうかは知らんが救急車のサイレンを聞かない日はない。
どれだけ熱中症対策が出回っても、もう追いつかない。こちらがかけたバフがすべて暑さに無効化される。暑さ、チートすぎる。おまけに無敵貫通のスキルまで発動しやがる。バンバンチャージを満タンにして宝具を打ってくる。FGO6章のガヴェインか。

隣のおばあちゃんは、あらゆる熱中症対策も意味が無い!点滴が一番効く!と豪語していた。
病院に点滴を打ちにいく元気があるだけで、ちょっと安心してしまう。

私のような軟弱サーヴァントは、エアコン買う金もない。科学の叡智にあやかることもできない。蒸し風呂のような部屋で、生ぬるい扇風機の風を浴び、心もとない涼でやりすごす。

少し前に、扇風機に保冷剤をどうにかこうにかセットすると涼しい風がくる、というのを目にし実行したが、灼熱のアスファルト打ち水のように変化がいまいち体感できなかった。
首振りモードにした扇風機の風が、寝転んでテレビで甲子園を見ている私のところに戻ってくるまで、約5秒。一瞬にして身体の熱が、今だ!と言わんばかりに私の身体を巡っていく。

低気圧、酷暑。天候による体調不良に為す術はないのか。
皆、同じ状況下の中、どのへんまで体調が悪化したら白旗を上げても納得してもらえるのだろうか。
気候に対し、人間が抗い立ち向かうには無謀なのだろう。いくらスパコンが進化して、予測はできても、日常生活をただ平穏に快適に暮らすにはまだまだ遠い。